Chief blog塾長ブログ

2021.08.21

苦手を克服したい生徒へのサポート

「英語の苦手な生徒に英語を克服させる」ということに興味を持つ英語の先生は多いようです。ただ「苦手な生徒」といっても、それがどの学力層を指しているかというのもなかなか共通しないようです。

「英語が苦手なので克服したい」と思って学習塾に来るというのは、本当に困っているからです、当然のことですが。高いお金を払い、時間を費やし、「イヤなこと」に取り組みに来るわけです。足取り軽く向かってくるわけではありません。彼ら・彼女らが英語を克服することができたら、「自分にもできた」という達成感と、その達成感をえられた自尊感情とが芽生えますが、克服できなければ、自己否定になってしまいます。若者の「自己否定」ほど辛いものはありませんから、受け入れるのであれば十分な責任・覚悟が必要です。(覚悟とは、うまくいかなければ来年辞めよう、なんていう逃げではなく、何があっても寄り添い、サポートしていくということです。)

大学の進学率は約50%。そのうち、約25%はAOや推薦で大学に行きます。つまり、「受験生」として意識される生徒はせいぜい30%に過ぎません。もっといえば、上位の生徒ほどAOや推薦で進学しない傾向があるので、成績上位30%程度の生徒といっていいでしょう。一般受験を意識している高校の先生も予備校の先生方もこの30%を意識しているのです。その層の「苦手な層」は全体から見たら「上位層」です。

2018年には約120万人いた18歳は、2020年には約116万人、2021年は113万人、2030年には約102万人に減ります。一方、大学進学者数は増えています。つまり、今まで大学に進学をしなかった学力層が、大学進学を目指しています。これから「英語が苦手だ」という層が、さらに大学進学を目指していき、そのサポートが必要になってくることは数字からも明らかです。

教員時代の友人に話を聞くと、「中学校の時に通っていた学習塾に通う生徒が増えてきた」といっていました。一昔前は「教えるだけ」「質問があれば来なさい」「学習するかどうかは生徒しだい」という状況でした。もちろん、昔のことになりますが、私の時代(18歳人口が200万人時代)もそうでしたが、今では「学び方を知らない」という生徒が少なくないでしょう。そういう生徒に「学び方」から教えたり、「共感」したりできるのは、「中学校の時に通っていた学習塾」のようなタイプの学習塾なんだろうな、と私は想像しています。「この先生の元で学習したい」と思えなければ、生徒は伸びませんし、辞めていきます。

「英語が苦手な生徒」への英語の教え方は、英語だけではありません。ベースに人間に対する畏敬の念を持ち、教育心理や(生涯)発達心理学、認知カウンセリングを学んだ上で、英語教育の知識が必要です。ただし、華やかなものではありません。「自分の価値を高める」と考えている人には、不向きなのはいうまでもありません。