2025.09.10
中学校までの「内申点」と、高校での「評定平均」。
どちらも成績を表す数字ですが、仕組みが異なるために戸惑う保護者の方が多いようです。
中学校の内申点は「加算型」です。テストや提出物、授業態度などでついた評定を積み上げていき、最終的に合計点で評価されます。したがって、極端に苦手な教科があっても、他の科目でカバーできるという面がありました。
一方、高校の評定は「平均型」です。正式には「評定平均」と呼ばれ、すべての科目の評定を合計して科目数で割ることで算出されます。たとえば、英語や数学のような主要教科も、美術や体育といった実技科目も、すべて同じ「1科目」として扱われるのが特徴です。
ある高校生が5科目で次のような評定を取ったとします。
英語:5 / 数学:4 / 国語:4 / 理科:3 / 社会:4
合計 = 5 + 4 + 4 + 3 + 4 = 20
科目数 = 5
評定平均 = 20 ÷ 5 = 4.0
ここで理科が「3」ではなく「2」になった場合を考えます。
合計 = 5 + 4 + 4 + 2 + 4 = 19
科目数 = 5
評定平均 = 19 ÷ 5 = 3.8
わずか1科目の評定が1下がるだけで、評定平均が「4.0」から「3.8」へ。大学によっては「評定平均4.0以上」が出願条件になるため、この差は大きな意味を持ちます。
こうした背景から、当塾では高校1年生の評定平均を高められるように、個別指導プログラムを新たに始め、そのための無料モニター生を8名募集します。
この個別指導は、通常の「勉強を教える」スタイルとは少し異なります。目の前の問題を解くだけでなく、「分かっていない部分を意識化させ、苦手科目にどのように向き合うか」に重点を置きます。自分の弱点に気づき、改善の方法を考えることが、高校の学習では何より大切だからです。
【参加条件】
※なお、この個別指導には「振替制度」はありません。あくまで主体的に参加できる生徒のためのプログラムです。
2025.09.09
学校推薦・総合型選抜による入学者は年々増加しています。文部科学省の資料によれば、すでに私立大学の入学者の60%以上が、一般入試の学力検査ではなく、推薦や総合型選抜を通じて入学しています。保護者世代、とくに50代以上の方にとっては「隔世の感」があるかもしれません。「総合型選抜? AO入試はどうなったの?」と感じる方も少なくないでしょう。
かつて存在した「一芸入試」と比べれば、学校推薦も総合型選抜も大きな進歩です。例えば、高校入試でも一時期「一芸」を披露する方式がありました。楽器の演奏なら理解できますが、野球経験のない生徒に素振りをさせたり、円周率を途中まで暗唱させたりと、首をかしげるような光景もありました。そうしたものと比べれば、現在の入試はずっと妥当性があります。
「学校推薦」は高校での学習や活動の成果を評価する制度です。一方、「総合型選抜」は受験生の適性や意欲を大学で生かしてもらいたいという、大学側の期待が込められた制度です。両者は「一芸入試」とは異なり、大学での学びに直結する資質を見ようとしています。
ただし、最近気になる情報を目にしました。YouTubeでとある学習塾の動画を見たところ、「偏差値が低くても総合型選抜なら有名大学に合格できる!」と宣伝されていたのです。実際には、そのような低い学力水準で多数の合格者を出すことは難しいはずです。大学の先生方も決して甘くはありません。小手先のテクニックで突破できるほど入試は単純ではないでしょう。
具体例を挙げれば、千葉工業大学は入試で数学Ⅲを課していません。しかし大学の公式データによると、留年・退学率は約7%に上ります(2012年時点では約17%でした)。特に数学Ⅲを必要とする学科では、さらに高い数字になっている可能性が十分に考えられます。理系大学では、学ぶために必要な知識が明確です。文系大学の場合も、必要なのは「学ぶ姿勢」です。学力があっても真剣に学ぶ意欲がなければ苦労しますし、偶然合格できてもその後の大学生活が充実するとは限りません。
そのため、学校推薦では評定平均が重視され、総合型選抜では「あなたは何者で、大学で何を学びたいのか、社会でどんな役割を担いたいのか」が問われます。そして大学で学ぶ姿勢を測る指標のひとつが、英検などの資格試験です。
これから推薦・総合型選抜の比率はさらに高まっていくでしょう。学習塾業界が生徒募集を意識するのは当然ですし、当塾も例外ではありません。ただし教育に携わる者として、「楽に合格できるテクニック」という誤解を与える発信は、百害あって一利なしだと考えます。教育業界に身を置く私たちは、入試制度の本質を踏まえ、生徒に正しいメッセージを伝えていくべきです。
2025.07.23
これは、私たちの「哲学」です。
「学習塾が“教育”を語るなんておこがましい」——そう思われるのは百も承知です。ですが、Sアカデミーとして、どうしても譲れない考えがあります。
たとえば、大手塾がよくやっている「友だち紹介キャンペーン」。友だちを紹介するとクオカードがもらえたり、成績が良いからという理由で授業料が無料になる「特待生制度」があったりします。
でも私は、子どもに「金券をあげるから友だちを連れてきてね」と言って、友だちを誘わせるようなことはしたくありません。そんな子に育ってほしくないからです。
今回の動画では、「クラス分けは簡単にやるべきではない」という話をしています。誤解のないように言っておくと、クラス分けそのものを否定しているわけではありません。ただ、成績の良い子を優遇するためのクラス分け——これは、「教育」を名乗る塾がやるべきことではないと思っています。
よろしければ、動画もご覧ください。
2025.05.03
この三月に長男が大学を卒業し、四月から就職しました。
これで三人の子ども全員が自立したことになります。父親としての役目を果たしたような、少し寂しいような、でもホッとした気持ちもあります。
子育ては本当に難しいものです。
ジレンマの連続であり、そのジレンマと日々向き合っていく作業のようにも思います。
子どもには学力をつけてほしいし、受験では志望校に合格してほしい。できれば、福利厚生が整い安定した企業に就職してほしい。親なら誰もがそう願います。
でも、有名高校や有名大学に進んだからといって、必ずしも幸せになるとは限りません。
職場の人間関係に悩んで心をすり減らしている人もいます。親としてどう導けばいいのか、いつも考えさせられます。
できるだけ苦労はさせたくないと思うのが親心です。
でも私は、成長に下駄を履かせることには慎重であるべきだと感じています。
本来子どもが言うべきことを親が代わりに言ったり、先回りして障害を取り除いたり、時には親の力でトラブルをおさめようとする。そうしたことは、結果的に子どもの自立を妨げることになりかねません。
幼い頃から有名校に入れるという判断の中にも、親の先回りがあるのかもしれません。
人は自分で決めて、自分の人生を歩くものです。
親に道を整えてもらってばかりでは、成長する機会を逃してしまいます。
小さい頃は、ちょっとしたことで「うちの子は天才かも」と思うものです。
車の名前を覚えたり、ひらがなが読めたり、話し始めるのが早かったり。それだけでうれしくなる。私もそうでした。
でもやがて、「うちの子は天才じゃないよな」と気づきます。
まぁ、私たちの子ですから、当然かもしれません。
それでも親は、子どものために心を尽くします。
時間を使い、お金をかけ、日々を過ごします。
子どもが笑ってくれれば嬉しいし、困難を避けてあげたいとも思う。できれば遠回りせずに幸せにたどり着いてほしい。そう願わずにはいられません。
けれど、遠回りこそが人を育てるのだと、私は思います。
うまくいかない経験、思うように結果が出ない悔しさ、自分の力で乗り越えた達成感。
そうした積み重ねの先に、自分の足で立つ強さが生まれます。
そしてそれこそが、子どもたちが生きていくための力になる。
我が子を通して、私自身が学ばせてもらいました。
塾で教えているのは、勉強を通じた自立の訓練です。
できなかったことができるようになる喜び。思うようにいかないときに、あきらめずに工夫して取り組む姿勢。それを大切にしてほしいと願っています。
点数も大事ですが、それ以上に学んでほしいことがあります。
保護者の皆さまには、時に黙って見守ることも、ぜひ大切にしていただけたらと思います。
子どもは親の言葉以上に、その生き方を見ています。
何を大切にしているのか。それは自然に伝わっていくものです。
そして願わくば、いつか子どもたちが、親の愛情や苦労に気づき、感謝できる人になってほしい。
親のありがたさは、大人になってから気づくことが多いものですが、学習塾に来て授業料を出してもらうことを当然と思わずに、感謝してもらいたい。
親が何かしてくれることを当然と思うのではなく、自分がどれだけ愛されているのかということを意識してもらいたいのです。
だから当塾では入会時に、保護者の方には見守ってくれるというに伝え、お子さんには保護者の方に感謝しなさいといっています。
2025.04.25
この春から、Sアカデミーに新たな風を吹き込んでくださるのは、都筑靖(つづき・やすし)先生です。都筑先生は、市川学園で40年にわたり国語教育に携わり、多くの受験生を国語の面からサポートしてこられました。その豊富な経験と深い知識を活かし、以下の講座を担当していただきます。
都筑先生の授業は、単なる知識の伝達にとどまらず、文章の背景にある作者の意図や時代背景を深く掘り下げ、生徒一人ひとりの思考力を養うことを重視しています。その指導法は、多くの生徒たちから「目から鱗が落ちるような体験だった」と高い評価を受けています。おそらくベイタウンにお住まいの市川学園の卒業生の方で都筑先生の授業を受けていた方はご存じのことでしょう。
都筑先生が長年指導されていた市川学園は、千葉県内でもトップクラスの進学校として知られています。特に近年の進学実績は目覚ましく、2025年度には以下のような成果を上げています。
これらの実績は、都筑先生が国語の面から受験生をサポートしてきた成果の一端を示しています。
都筑靖先生の授業に興味をお持ちの方は、ぜひ体験授業にご参加ください。当塾では、随時体験授業を受け付けております。「現代文が伸びない」という受験生にはぜひとも体験していただきたい授業です。
2025.04.02
英語長文読解について新規入会の高校生から、「長文読解と全文訳とはどう違うのですか?」という質問を受けました。確かに私の授業は全文訳とはちょっと違うので、具体例を出して紹介します。
この文章が題材ならば、何をテーマとするかを講師は考えます。たとえば高校1年生上級を意識して文法を中心に据えるなら、つぎのような視点です。
ただこれだけだと、長文読解なのか「複数の1文解釈」なのか分かりません。そのため、文と文との繋がり(cohesion)や、段落・全体のまとまり(coherence)を意識させることが大切になります。
この文章は4文で成り立っていますが、この「つがり(結束性)」と「まとまり(一貫性)」は次のようになっています。
◎つながり(結束性)
【指示語】(指示語や言い換えは、表面的な単語のつながりを作る重要なヒント)
【接続語】(接続表現によって、文の関係性(理由・対比・目的)が読み手に明確に伝わる)
◎まとまり
1文目で述べられる、「生徒が楽しみにしている学校行事(sports & cultural festivals)」が段落の中心話題(theme)です。それが次のように展開しています。
このような視点で長文読解をした後で、生徒は宿題として音読をします。1日5回で30回。しっかりと音読をしたかどうかをcloze testで確認します。
In many Japanese schools, students look ( 1 ) to two special events every year: the sports festival and the cultural festival.
These festivals are important ( 2 ) they give students a chance ( 3 ) show their talents and work together.
( 4 ), some schools have ( 5 ) that fewer people come to these events ( 6 ) before.
( 7 ) ( 8 ) make these festivals more exciting, students and teachers are ( 9 ) of new ( 10 ) to attract visitors.
長文読解とは1文1文を訳すだけでは、長文を読むスピードはつきにくいし、文章を最後まで読んでも内容が頭に残りにくいのです。
2025.03.04
教育の専門家なら、「効率的な学習」など存在しないことを知っています。本当にそんな方法があるのなら、誰も学習に苦労することはありません。もし「効率的な学習法」が確立されているならば、すでに私立学校が導入し、素晴らしい実績を上げているはずですし、教育界に革命が起きているでしょう。しかし、そのような事実はありません。つまり、「効率的な学習」というものは存在しないのです。
学力を向上させるための唯一の方法は、質の高い授業を受け、しっかりと自習することです。内容を深く理解し、繰り返し学習することでしか学力は伸びません。もちろん、中には天才的な人もいるかもしれませんが、私のような普通の人間にとって、それ以外の方法はないのです。
当塾では、教育課程をしっかりと踏まえた授業を提供し、集中して学習できる自習室を用意しています。本気で自分の力を伸ばしたい皆さんをお待ちしています。
2025.03.03
この3月が終わると、弊社の代表取締役に就任して10年になります。弊社の取締役の任期は10年間。そのため、次の任期は私にとって最後の任期となる予定です。
Sアカデミーを創設したのは、就任2年目の夏のことでした。当時は「良い授業をすれば生徒は集まる」と信じていました。しかし、すぐにそれだけでは不十分だと気づかされました。どれほど質の高い授業を提供しても、それを知ってもらわなければ生徒は集まりません。しっかりとPRし、存在を知ってもらうことの大切さを実感しました。
「味にこだわるラーメン屋は長く続かない」「一番売れているハンバーガーが必ずしも一番美味しいわけではない」。この考え方は塾にも通じるものがあります。こだわりが強すぎると、継続することが難しくなるのです。
だからこそ、自分のこだわりをある程度手放しました。ただ、それでも「教育」に対するこだわりだけは捨てることができません。常に「教育とは何か」を考え続けてしまいます。
人生は、自分で決断するからこそ、その責任を引き受けることができます。だからこそ、受験勉強や志望校の選択も、生徒自身が決めるべきだと私は考えています。
たとえば、高校生が授業を取捨選択する場面、たとえば志望校を決める場面。私は「決定のための材料を提案し、最終的な判断は生徒自身に委ねる」という姿勢を大切にしています。尋ねられればアドバイスはしますが、決断はあくまで本人が下すもの。これが、Sアカデミーの指導方針です。
志望校に合格したから幸せになるわけではないし、不合格だったから不幸になるわけでもありません。人生は長く、何が起こるかわからない。晴れの日もあれば、雨の日もある。大人になれば誰しも気づくことですが、「勝ち続けることは不可能」であり、「負け続けることもない」のです。お金で不幸を回避することはできても、幸せを買うことはできません。
人生は長いようで、振り返ればあっという間。しかし、何も考えずに過ごす時間は驚くほど長く感じます。成功よりも、失敗から学ぶことの方が多い。だからこそ、私はSアカデミーを「学力を伸ばす場」であると同時に、「失敗しても『ナイスチャレンジ!』と応援される場」でありたいと願っています。成功すれば共に喜び、失敗しても成長につながる。そんな環境を提供したいのです。
だからこそ、自習室にもこだわりました。「自分で学び、自分と向き合える場所」。それを用意することが、学習塾としての私たちの責務だと考えています。
こうした考えは、学習塾業界においては理想論かもしれません。それでも、私はこの理想を貫きたいのです。
当塾では、卒塾生が学生スタッフとして3年間ほど活躍してくれています。彼らは塾で働くだけでなく、自分が挑戦したいことにも取り組める環境を提供しています。生徒として成長し、学生スタッフとしても成長し、そして社会へ羽ばたいていく。これこそが、私が思い描くSアカデミーの理想形であり、今のところ、その形を実現できていると感じています。
現在、新年度の生徒を募集しています。学力だけでなく、人としても成長できる環境で、一緒に学びませんか?
Sアカデミーでは、学ぶことだけでなく、社会とのつながりを大切にしています。その一環として、当塾の学生スタッフが、3月16日(日)に投開票を迎える千葉市長選挙において、神谷しゅんいち候補(現職)の出陣式でメッセージを発表し、「頑張ろうコール」を行いました。
その様子を動画にまとめましたので、ぜひご覧ください。
2025.02.16
「保護者雑談会」ということで、週末に保護者の方とお話しをする機会を設けています。気楽にどうぞ、ということで雑談会です。
保護者の方と話していると、「学校でないのでここまでお話ししていいのか分からないのですが」という枕詞の後に、お子さまの成長についての相談があります。人間関係や親子関係、子育ての悩みなど学習以外のことです。こういう相談も当塾は歓迎しています。全ての相談を解決できるわけではありませんが、しっかりとお話を伺うこと、そして配慮できることは最大限に配慮します。
子どもの成長にとって勉強は大切なことですが、健やかな心も大切です。
2025.02.06
Sアカデミーの自習室のトイレの話です。
トイレ掃除は基本的に私の仕事なのですが、当塾の自習室のトイレはいつもきれいです。いや、掃除が行き届いているからというわけではなく、用を足した後に中高生がきれいにしてくれるのでしょうね。昨日の清掃前のトイレです。
このように汚れていないのです。これは男子トイレですが、「水はね」もないのです。これは、当塾に通う生徒さんは家庭教育・家庭のしつけを受けているからでしょうね。
ちなみに、自習室の掃除機掛けはチューター服部君のお仕事でした。