2018.11.28
現在の高校1年生からGTECや英検、TOEICなどの『民間英語試験』を「4技能試験」として大学入試に採用する予定となっています。東大や慶應大学、名古屋大学のように「民間英語試験」を(実質的に)採用しないところもありますが、この旗振り役の上智大学はTEAPの採用は行うでしょうね(上智大学のアカデミック的な評価は低下するのかな)
この「民間英語試験」はともかく、不完全というか、準備が不十分というか、ともかく欠陥だらけといっていい。
この試験に反対する人は、「読む・書く・聞く・話す」という「4技能」に反対してるのではなく、現在の状況で「民間英語試験」を大学入試に採用することを反対してるのです。これに対して羽藤由美先生が次のように柴山文科大臣にtweetなさいました。
問題点が山積している民間英語試験を強行すれば、1点の違いで合否が分かれる大学入試の公平性を損なうことになる危険性が大いにあります。
これからの動きは注視したいところです。
2018.11.09
中学校2年生は動名詞の学習に入ります。
中学校2年生のこの時期からの学習と、大学入試を目指す高校2年生との学習には接点があるような気がします。というのも、中学校2年生のこの時期の英語の学びが、「なんとなく」であると、高校2年生の時期にその「つけ」が回ってくるからです。
「動名詞」から「to不定詞」の学習では、品詞の理解が大切になります。
名詞とは何? その役割は?
形容詞とは何? その役割は?
副詞とは何? その役割は?
ここを飛ばしてしまうと、高校に入ってから英語が苦手になります。
だから、中学校の時に理解する必要があります。
たとえば、
動名詞・to不定詞を「~すること」と覚え、
stop, enjoy, finish, give upなどの目的語には動名詞、
want, plan, refuseなどの目的語にはto不定詞と覚えるだけでは
不十分です。
だから、最初に動名詞の役割を理解するための練習が必要になります。
walk – walking
このような自動詞でも、
walk along the river – walking along the river
という練習に発展させます。
visit – visiting
他動詞をこのように練習するのではなく、
visit a friend – visiting a freind
visit a friend for dinner – visiting a friend for dinner
と、目的語もしっかりとつければ、
動名詞(to不定詞の名詞的用法)の学習を通じて、自動詞と他動詞との復習をすることができます。学習を後戻りさせることなく、復習ができるチャンスはそうそうありません。
その後に、この名詞句がSやOになることを学ぶことを通じて、語順の復習もできます。
急に英語学習が難しくなりますが、授業の進め方によっては挽回できる大きなチャンスにもなります。
2018.10.30
中学校3年生の保護者面談終了。
高校入試というとても大切な選択が充実できるよう、
広い意味での情報提供などを行いました。
さて、今年で気になったことが、
学校の成績と模試の点数との乖離です。
模試で偏差値65前後なのに、
学校の成績は半分程度というケースがそれなりにあるのです。
私はここで、中学校の先生を批判しようとしているわけではありません。
(現行の成績の付け方には大いに問題があると思っています)
公立高校は次の合計で合否が決まります。
調査書点とは、通知表の点数の合計です。学力検査とは入試のことです。割合からみれば、圧倒的に学力検査(入試)が大きいのです。
学力検査の問題(2018年2月前期数学・千葉)をご覧下さい。
正解率は次の通りです。
どれも正解率は高いですが、これらは全て1問5点の点数です。つまり、ひとつ間違えたら、5教科全ての評定が1下がる=5教科オール4がオール3になり、2問間違えたら、オール2になることと同じです。(実際の通知表で、そんなことはほぼありません)
次に英語です。
リスニング問題で、次のスペリングを書かせます。( )の数字は正答率
これは1問3点。
そして文法語法問題。
正解率は次の通り。
これも全て1問3点。国数英の3教科の評価が全て変わるのと同じです。
最後に英作文。
これは8点問題ですが、8点を取っているのは全体の9.4%です。1学年の教科は9教科ですから、全ての教科が+1になるほどの衝撃が、たった20語の英作文です。
試験問題は、出題者との対話です。
という問いかけです。
高校側からの問いかけと、中学校の先生からの問いかけ、
ここに差異があるときに、両者の点数が広がることもあるのかもしれません。
Sアカデミーは、
高校側からの問いかけ(高校入試)や、
大学側からの問いかけ(大学入試)に、
こだわっています。
どちらの方が合格に近づくかは、先ほどの割合をもう一度、ご覧下さい。
2018.10.25
昨日、教員時代から仲の良い先生から連絡がありました。
(千葉県内で偏差値60程度の学校です)
おそらく、こういう悩みは多いと思われます。
https://www.keinet.ne.jp/topics/17/20180202.pdf
このグラフは、センター試験の得点分布図です。センター試験は平均点が123点ですが、得点のいちばんの山は150~160点だということが分かります。そして160点を超えると、急に点数が下がる一方で、100点以下の生徒もかなりの人数のようです。
高校生が志望する傾向のある大学(GMARCH以上)を受験するためには、150点が必要でしょう。160点を超えるためには、「穴」のない英語力をつけなければならないから、160点には高い壁があるのでしょう。
その一方で、100点を取れない受験生も、皆さんが想像している以上にいます。定期テストで「それなり」の点数をとっている生徒も、100点に届いていないケースは多々あると思います。そのいちばんの理由は、中学校レベルの基礎ができていないからです。
中学校レベルの基礎はいくつかの段階に分かれますが、その基本は語順です。
語順と文型の考え方は近いですが、ちょっと異なります。
語順を意識して文法学習をすることが、100点突破には必要です。それがなければ、単語を勉強しても、難しい文法を勉強しても、あまり役に立たないと私には思われます。
2018.10.19
昨日は中学校3年生の数学を担当している講師と打ち合わせ。
高校入試まで残り3ヶ月なので、一人ひとりに対してどのような対応をしていくか、彼が必要な教材は何かあるかという2点です。特に、一人ひとりに対してどのような対応をしていくかに時間を使いました。千葉県の公立高校の試験は、国語→数学→英語の順番で午前中の試験があります。国語では大崩れはあまりないのですが、数学で失敗してしまうと、次の英語にも影響が出てしまいます。だから、数学の準備は英語以上にしっかりとさせたいところです。
私たちのスタイルは、「生徒一人ひとりのの弱いところをサポートする」だけではありません。「Aさんは、負けず嫌いなので課題を多くだそう」「Bさんは、Cさんと仲がいいので、ふたりあわせて指導をし、相互フォローができるようにしよう」「Dさんは、○○という性格だから、こんな「ことば」(これは企業秘密;笑)をかけていこう」などと、個人にあった対応を行います。性格的に、試験という舞台に強い生徒もいれば、少し引いてしまう生徒もいます。強い生徒は乗せて、引いてしまう生徒は勇気づける。こんな指導ができることが、少人数のいいところなんですよね。学校の先生ならご理解いただけるでしょうが、15-20人だったら、一人ひとりの心の動きが手に取るように分かります。
講師の生徒理解を聞きつつ、これから3ヶ月間、全体の授業だけでなく、一人ひとりをどうフォローしていくのかを話をしつつ、千葉の七星でラーメン。「生徒がかわいいから、最大限サポートをしたいんですよね」という彼のような講師が数学を担当してくれていることに心から感謝。9月に彼が訪れたカンボジアでの足裏マッサージの話しを聞きつつ、本千葉まで送り、解散。
「教え方」も大切ですが、生徒をどうやって勇気づけていくか、ということもそれに劣らず大切なことだと私は思っています。(ここ10年間は勇気づけることに力を入れています。)
2018.09.19
将棋の解説を聞いていると、
というのが、序盤から中盤にかけてあります。自分の流れを加速させる一手のことがほとんどです。もちろん、終盤戦では相手玉を積ませるために対策をしていきますが、序盤や中盤では自分の優位を拡大していきます。
これって、学習でも同じじゃないでしょうか。
英語学習で「自然な一手」とは、文法を学び、単語を覚え、英語を書き、音読しなどなど、英語の基礎力を高めていくことでしょう。「気持ちのいい手」とは、「読めなかった英語が読めるようになった」「聞き取れなかった英語が(少しは)聞き取れるようになった」ということでしょう。
「効率の良さ」は確かに大切です。
しかし、あえてこんな書き方をしますが、「素人目線で効率の良さ」を考えても、あまりプラスになることはありません。将棋や英語学習だけではなく、料理だって、車の運転だって、事務仕事だって、農業だって、漁業だって、全て同じです。もちろん、効率の良さを追求してうまくいく例だって少しはあるでしょうが、そんな「少し」を追い求めて挫折していく人の方が圧倒的多数ではないかな。
地力のついていないときから「対策」を求めることは、
ということです。「最短距離」は「地力をつけること=骨太の学力をつけること」です。拙著の『短文で覚える英単語1900』はいい教材ですが、300の例文を覚えることはたいへんです。田中健一先生の「10題ドリル」も、独学で完成するのはたいへんです。「あれだけやっておけばいいよ」というような、覚悟もなく学んだところで、挫折するのがオチです。
楽して入りたいなら、うーん、裏口でお願いすることかな(あるかないか、分からないけど)。
それがイヤなら、高校3年生の秋までは、徹底的な骨太の学力をつけることが、いちばんの「対策」です。
2018.08.13
田中先生(@TNK_KNCH)の高校英語の初級レベルの高校生に対する愛情は強いものを感じます。自分自身も、英語力を5段階に分けたときに、D~Cの生徒にどのようにアプローチするかを考えていたので、少し長くなりますが、ベストだと今の段階で思われる方法を隠さずに書いていきます。
「今のままじゃマズい」と思って生徒は学校の先生や、学習塾にきます。これはすごいと思うんですよね。「苦手なものを克服しよう」と、今まで彼らを傷つけてきた英語を乗り越えようとするのですから、その決意は大切だと思います。だからこそ、最初に大切なことは次のこと。
次に、「なるほど!」という体験を提供します。「アハ体験」というか、「自分にも分かった!」というか、その覚悟に報いる仕事をします。「自分にもできるんじゃないの?」と思ってもらえるようなサポートをします。確かに、「入り口」でベストな学習的要素は文法だったり、単語だったりするでしょう。でも、私は長文がいちばんいいと思っています。全文を訳したり、細かい構文をとったり、なんて必要ありません。「あ!こんな風に勉強したら、英語が分かるようになった!」というのが、「なるほど!」という体験です。最初はリスニングで、「げ、この英文、ぜんぜん分からん」という長文で、それが授業の最後に同じ条件でリスニングをしたら、「あ!こういうことだったのか」と思わせる。最初と最後の理解の落差は大きければ、大きいほどいい。最初のリスニングで分からなくても、生徒はその授業は逃げません。だから、最初の授業はいちばん大切になります。その授業で必要なことは次の通り。
シャドウイングをこよなく愛する人もいますが、シャドウイングと英語学習との関係を考えれば、私はあまり重要視しません。せいぜい、お遊び程度でいいんですよね。この経験をさせることで、「これなら、自分にもできる。英語が分かるようになるんじゃないか」と思うようになります。ということで、2番目に必要なことはこちら。
ここまでは、生徒の様子をみながら授業を進めなければなりません。「ここで引っかかっているな」と思えば厚く、「順調にいっている」と思えばしつこくなく、ということが必要です。私がずっといいたいことは、映像授業(これを「授業」と呼ぶことには私は大いに抵抗がある)は一方通行なので、D~C(あるいはBも?)の生徒が見たって、たいして役に立たないと思っていますし、これからも思うでしょう。一方通行のコミュニケーションは、相手にそれを受信する能力がなければ、無理だと私は思っています。もしDVD視聴で映像授業で英語が分かるようになる教授方法があるならば、全国の生徒はもっと英語力が上がっているでしょう。
話題を元に戻します。
この「できた!」という感覚を持てるようになってから、文法なり、単語にようやく入れます。英語学習のドアが開かない限り、文法や単語を学ぼうという意欲が生まれるはずありません。
ここまで到達すれば、あとはそのままで英語を学ぶわけではありません。目に見える「成果」が必要です。模試?いやいや、あまり模試はないでしょう。大人の事情で、ここでは書けないのですが、もし知りたければ、ご連絡下さい。可能なのは、学校か小規模の学習塾かな。(フリーメールで、名前も職業も名乗らない人からたまーに連絡をいただきますが、例外なく削除しています) ちなみに「成果」は、山口県での研究会で学んだことをそのまま使っています。
ここまでくれば、「10題ドリル」「短文1900」学習のスピードアップが可能です。
これは、英語学習でもそのまま当てはまります。
2018.07.10
今回の広島や岡山、愛媛を中心とした大災害で犠牲となったかに心からお悔やみを、そして被害を受けた方に心からお見舞い申し上げます。
今回で被災した高校生に、7月23日からの夏期講習にご招待します。ただ宿泊施設がありませんので、千葉市付近にご親戚の方などがおられる高校生の限定となってしまいます。
高3生夏期講習の科目は次の通りです。
数学も抜群にできる講師がおります。彼は高校3年生の授業は持っておりませんので、個別指導となります。
高校2年生は、英語と国語だけとなります。
お気軽にご連絡下さい。
2018.07.09
東日本大震災のあと、千葉県からの派遣で8日間ほど大船渡に行きました。
2ヶ月後の5月中旬に派遣されたこともあり、
生活自体はある程度の落ち着きはあったのですが、
子どもたちの学習教材が不足していました。
あの時に同僚にお願いして、
学校にある辞書を送ってもらったところ、
50冊程度が3日で全てなくなりました。
学校の先生方はtwitterなどを通じて、
必要な教材を求められれば、必ず集まりますよ。
教育委員会や教職員組合がそのとりまとめができればベストなのですが。
各出版社からの見本が役に立つチャンスです。
(間違いなく辞書が喜ばれます!)
ささやかですが、
『短文で覚える英単語1900』を100冊ほどお渡しします。
ただ、学校の先生からのリクエストに限定させて下さい。
このテキストは300の短文を覚えることで
1900(派生語も含む)の単語を覚えるとともに、
中学校で学ぶ文法事項も全てマスターできます。
100部を超えてしまった場合には、
本文中の
短文と日本語訳をファイルでお送りします。
また、一太郎ファイルにはなりますが、
確認テストファイルもお送りいたします。
ご希望の方は
kumita◎s-academy.netまでご連絡下さい。
(◎をアットマーク@に変えて下さい)
2018.07.09
確かに、学校はブラックです。
今になって思えば、普通じゃないことも、普通のようにしていました。
もちろん、退職する直前よりも、教師になったばかりの25年前の方が間違いなくスーパーブラックでした(笑)
ただ、文句を言いつつ働き続けるのもつらいでしょう。だったら、起業・転職をしたらいかがでしょうか。
まず転職だと、
塾や予備校が考えられると思います。
独立行政法人統計センターの平成28年賃金構造基本統計調査によると、
教育支援関係は400万円に届いていません。
(ここには、高給である天下のベネッセも入っているでしょうね)
中学生対象の学習塾であれば、
時給はせいぜい3,000円でしょう。
もちろん、皆さんの能力が高いことは存じ上げておりますが、
中学生の学習塾の授業料を考えると、上限がこの程度だと思います。
予備校はどうか。
予備校といっても小規模~大規模まであります。
一般的に時給は4,000~6,000円(メディアに講師を売り出す予備校はもっと高いようです)。
(大手になれば時給は高くなります)
休業補償なんてない業界です。
コマ数を多く受け持つか(受け持たせてもらえるといいですね)、
予備校を掛け持ちすれば、ある程度の賃金は確保できます。
ただし、雇用時の年齢制限があるでしょうし、
1年契約がほとんどです。
成果が出なければ、そこで契約終了。
皆さんが想像しているよりも、
予備校の先生方はかなり厳しい状況だと思われます。
だったら起業をしよう!
自分で塾を開こう!
まぁ、私はこれで始めたわけですが、
かなり大変でした(笑)
今になって思えば、
よくあの状況でスタートできたなぁというのが正直な感想です。
もちろん、生徒さんたちの学力も上がったし、
満足度は低くないと思っています。
これは、講師に恵まれたことがいちばんの理由です。
中学生を教える大学生の教育的能力=学力、コミュニケーション能力が
極めて高い。
しかも、偶然にも講師のほとんどが渋幕出身なので、
全教科教えられるというスーパー講師であり、ほぼ全員が地元住みです。
この偶然がなければ、Sアカデミーはもう青息吐息、
いや、赤字ため息だったでしょうね。
よい商品を提供すればお店が栄えるなんてことはありません。
美味しいお酒なら売れることはありません。
美味な料理なら人が黙っていてもやってくるなんてことはありません。
先生方が今までのご経験ですばらしい授業をするだけで、
生徒が集まってくることはまずありません。
もちろん、授業は土台です。
ただ、その土台の良さをどのように伝えるかは、
まじめな先生であればあるほど、苦手な分野でしょうね。
軌道に乗ったとしたら、
それをどのように維持し、発展させるか。
そこで組織が必要になります。
1人では、病気などのリスクに対応できないため、
生徒さんにとって不誠実です。
誰にも得手不得手がありますから、
どのような人を雇用して、
どのような組織にしていくのかを考える必要があります。
ちなみに、起業をした会社が10年後に残る確率は5%。
それでも学校に不満があるならば、
そのようなチャレンジもいいかもしれません。
細かい決まりもありませんし、
妙な研修もありませんし、
イライラが募る職員会議もありません。