Chief blog塾長ブログ

2025.11.07

人間的な学びを大切にします

1. 効率化の時代に生まれた歪み

いま、教育は“効率”を合言葉に変わろうとしています。
AIが正解を導き、映像授業が全国をつなぎ、
学びは数字とデータで測られるようになりました。

けれど、どんなに速く答えにたどり着いても、
「考える力」や「感じる力」は、時間の中でしか育ちません。
効率化の波は、人間の学びから「余白」を奪いつつあります。

2. 映像を否定しないが、対話授業を忘れない。

Sアカデミーは、高校生の一部教科で映像授業を活用しています。
それは、効率を賢く使うため。
しかし、英語・数学・国語――この三つだけは、
人と人が向き合う非効率の時間を、何より大切にしています。

正解を聞くよりも、自分で考える。
映像を観るよりも、対話の中で理解を深める。
時間がかかり非効率に見えるかもしれませんが、
その“非効率”の中にこそ、学びの本質があります。

3. 教室という学び舎
私たちの教室には、静寂があります。
それは、思考が動いているからです。
質問する声、ノートに走るペンの音、先生方のまなざし。
そのひとつひとつが、生徒の中に「考える自分」をつくっていきます。

間違える勇気、話す勇気、考え続ける粘り。
それらは映像では再現できません。
人が人を育てる。
それが、私たちの信じる教育の形です。

4. 私たちの答え

非効率が人を育て、人を進化させます。
分からない部分は自分で調べ、解決しなければ先生に聞く。
試行錯誤を通じて、人は成長していきます。
学びのサポートとして、卒塾生のチューターがいる。
学びの主体は、皆さん自身です。

5. 私たちの約束

生徒を効率的に考えず、長い人生の中での成長を大切にする。
結果は後からついてくる。大切なことは最後までやり遂げる力である。
その皆さんの成長を、講師と卒塾生チューターが支えていきます。

6. 最後に
Sアカデミーは、小さな塾です。
けれど、その小ささは、目が届く距離であるという強みです。
効率化が教育を支配する時代に、
私たちは人間的な学びを守り抜きます。

――非効率が人を育て、人を進化させる。
それが、Sアカデミーの信念です。

2025.09.10

高校生の評定平均と中学校の内申点との違い

中学校までの「内申点」と、高校での「評定平均」。
どちらも成績を表す数字ですが、仕組みが異なるために戸惑う保護者の方が多いようです。
中学校の内申点は「加算型」です。テストや提出物、授業態度などでついた評定を積み上げていき、最終的に合計点で評価されます。したがって、極端に苦手な教科があっても、他の科目でカバーできるという面がありました。
一方、高校の評定は「平均型」です。正式には「評定平均」と呼ばれ、すべての科目の評定を合計して科目数で割ることで算出されます。たとえば、英語や数学のような主要教科も、美術や体育といった実技科目も、すべて同じ「1科目」として扱われるのが特徴です。

ある高校生が5科目で次のような評定を取ったとします。
英語:5 / 数学:4 / 国語:4 / 理科:3 / 社会:4
合計 = 5 + 4 + 4 + 3 + 4 = 20
科目数 = 5
評定平均 = 20 ÷ 5 = 4.0

ここで理科が「3」ではなく「2」になった場合を考えます。

合計 = 5 + 4 + 4 + 2 + 4 = 19
科目数 = 5
評定平均 = 19 ÷ 5 = 3.8

わずか1科目の評定が1下がるだけで、評定平均が「4.0」から「3.8」へ。大学によっては「評定平均4.0以上」が出願条件になるため、この差は大きな意味を持ちます。

こうした背景から、当塾では高校1年生の評定平均を高められるように、個別指導プログラムを新たに始め、そのための無料モニター生を8名募集します。

  • 期間:10月〜翌年2月
  • 形式:週1時間
  • 料金:無料(集団授業受講生限定)

この個別指導は、通常の「勉強を教える」スタイルとは少し異なります。目の前の問題を解くだけでなく、「分かっていない部分を意識化させ、苦手科目にどのように向き合うか」に重点を置きます。自分の弱点に気づき、改善の方法を考えることが、高校の学習では何より大切だからです。

【参加条件】

  • 当塾の集団授業を受講していること
  • 本人が「しっかり勉強する」姿勢を持っていること
  • 大学進学を考えていること

※なお、この個別指導には「振替制度」はありません。あくまで主体的に参加できる生徒のためのプログラムです。

2025.09.09

推薦・総合型選抜時代の大学入試 ― 親世代が知っておくべきこと

学校推薦・総合型選抜による入学者は年々増加しています。文部科学省の資料によれば、すでに私立大学の入学者の60%以上が、一般入試の学力検査ではなく、推薦や総合型選抜を通じて入学しています。保護者世代、とくに50代以上の方にとっては「隔世の感」があるかもしれません。「総合型選抜? AO入試はどうなったの?」と感じる方も少なくないでしょう。

かつて存在した「一芸入試」と比べれば、学校推薦も総合型選抜も大きな進歩です。例えば、高校入試でも一時期「一芸」を披露する方式がありました。楽器の演奏なら理解できますが、野球経験のない生徒に素振りをさせたり、円周率を途中まで暗唱させたりと、首をかしげるような光景もありました。そうしたものと比べれば、現在の入試はずっと妥当性があります。

「学校推薦」は高校での学習や活動の成果を評価する制度です。一方、「総合型選抜」は受験生の適性や意欲を大学で生かしてもらいたいという、大学側の期待が込められた制度です。両者は「一芸入試」とは異なり、大学での学びに直結する資質を見ようとしています。

ただし、最近気になる情報を目にしました。YouTubeでとある学習塾の動画を見たところ、「偏差値が低くても総合型選抜なら有名大学に合格できる!」と宣伝されていたのです。実際には、そのような低い学力水準で多数の合格者を出すことは難しいはずです。大学の先生方も決して甘くはありません。小手先のテクニックで突破できるほど入試は単純ではないでしょう。

具体例を挙げれば、千葉工業大学は入試で数学Ⅲを課していません。しかし大学の公式データによると、留年・退学率は約7%に上ります(2012年時点では約17%でした)。特に数学Ⅲを必要とする学科では、さらに高い数字になっている可能性が十分に考えられます。理系大学では、学ぶために必要な知識が明確です。文系大学の場合も、必要なのは「学ぶ姿勢」です。学力があっても真剣に学ぶ意欲がなければ苦労しますし、偶然合格できてもその後の大学生活が充実するとは限りません。

そのため、学校推薦では評定平均が重視され、総合型選抜では「あなたは何者で、大学で何を学びたいのか、社会でどんな役割を担いたいのか」が問われます。そして大学で学ぶ姿勢を測る指標のひとつが、英検などの資格試験です。

これから推薦・総合型選抜の比率はさらに高まっていくでしょう。学習塾業界が生徒募集を意識するのは当然ですし、当塾も例外ではありません。ただし教育に携わる者として、「楽に合格できるテクニック」という誤解を与える発信は、百害あって一利なしだと考えます。教育業界に身を置く私たちは、入試制度の本質を踏まえ、生徒に正しいメッセージを伝えていくべきです。

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