Chief blog塾長ブログ

2020.03.04

令和3年度高校入試①(内申点の歴史1)

公立高校入試の難易度は高まるのではないか、と生徒に伝えていましたが、その通りになりました。これは根拠なく話したわけではなく、入試改善協議会の傍聴をしたときに高校側の発言からそう思ったからです。特に国語と理科が今年は難しくなりましたが、英語の英作文も「20語前後」から「20語以上30語以下」と語数が増えました。

来年度の公立高校入試が大きく変わる部分は次の通りです。

  1. 前期後期が廃止され1回入試となる。
  2. 調査書点(内申点)の「95」がなくなる。
  3. 英語の試験時間が60分になる。

前期後期がなくなることで、公立高校は2分化されるでしょう。私立高校と競合している千葉県南部は公立高校の定員割れも起こりそうです。

内申点の「95」の廃止について今日は書きます。

平成10年度(今から20年以上前)に改訂された学習指導要領で平成13年度より絶対評価が導入されました。それまでは「相対評価」という「クラス内の相対的評価」でした。40人学級であれば、1・5は3人(7%)、2・4は10人(24%)、3は14人(38%)という割合になっていました。「これでは、不公平になる生徒がいる!」という意見も影響があったのでしょうが、観点別評価(関心意欲態度など)が導入され、絶対評価となったのです。

この観点別評価がくせ者でした。絶対評価になれば、「基準」が示されるべきでしたが、当時の文部省(文部科学省になったのは平成13年度より)は「規準」にすり替えて、「観点別評価」で成績を現場に丸投げしたのです。その結果、さまざまな矛盾が生じます。たとえば、「意欲態度」など、公平に判断できることは極めて難しく、女子生徒の成績が高くなったような気がします。(これはあくまでも皮膚感覚です)

また、これが導入されたときに、中学校によって成績に大きな差がありました。ある学校はインフレ傾向気味な成績になったり、ある学校はそれまで通りの成績になったりと、中学校ごとでの有利不利も生まれてしまったのです。

オール4の中学校と、オール3の中学校では27点の差がつきます。

  • オール4:4×9(1学年の教科数)×3(3学年)=108
  • オール3:3×9×3=81

そこで千葉県教育委員会は、「平均を3.5にして、内申点の総点を95にしましょう」とします。これは批判もありますが、当時、現場といたものとして、仕方ないことだと思っています。

(続く)