Chief blog塾長ブログ

2022.04.13

公立高校入試で恣意的な合否判定は可能か?

もう過去の話になってしまうが、医学部を中心とした「女子受験者差別」の話を聞いたとき、「まさか、入試で不正はできないでしょ」と私は思いました。20年間にも及び高校という現場では、不正入試はありえないことであったので、大学でも同じだろうと思ったからです。もちろん、一部の私立大学ではあるというウワサを聞いてはいましたが、まさか国公立大学で、、、とは衝撃でした。

公立高校入試(千葉県)では、不正がありえない理由を書いていきます。

  1. 全ての答案が2~3回(別人)の答案チェックを受ける
    答案は1回の採点ではなく、最低でも2回は行われます。しかも、一人ひとりが担当する箇所は極めて少なく、漫然と採点ができないようになっています。採点を終えると、自分が採点をしたという証拠として印鑑・サインをするほど責任の所在も徹底しています。今年は2022年度入試でしたから、一の位である「2」の受験番号(2,12,22,32など)は「抽出答案」として細かく分析を受けます。その採点は3回目のチェックを受けます。万が一、この3回目のチェックでミスが見つかったら、全教科・全生徒の採点をやり直します。このように、ミスはありえないのです。
  2. 全てが点数化される
    数年前までは、面接など点数化しにくいものはA~Cという評価になっていましたが、現在は全て点数化されています。よほどのことがない限り、面接でCがつくことはありませんでしたが、3人の教員の評価がBCCという場合であっても、それが原因で不合格になるということはなくなりました。最近はAは7点、Bは5点、Cは3点のように、全てが点数化されており、Cをつけたときには、判定会議でCという評価の理由を当該教諭が求められることもあります。
  3. 判定会議では必要な情報のみが判定書類になる
    合格発表の前日に、「判定会議」という職員会議が行われます。このときに職員に渡される書類には、受験生の「受験番号」「学力検査の点数(各教科・合計点)」「内申点の合計」「特記事項」(点数化されるもの、されないもの両方)だけです。その受検生の中学校名や名前は一切、表には出ません。知り合いだからなんとかしてあげよう!とは校長でも不可能なのです。そして、採点された点数などをデータとして打ち込む作業も、1人ではなく複数人で行われ、何回ものチェックを受けてから会議に提出されます。
  4. 合格は全て点数で決まる
    受検生は、合計点(内申点・学力検査点・特記事項・学校独自の試験など)で上位から並べられます。そして、基本的に点数で上位から決まり、350点合格、349点不合格のように点数で全てが決まります。ここでも「349点の生徒は地元中学校だから、合格にしましょうよ」とはなりません。ただし、点数が350点で並んだときには審議となりますが、おそらく多くの学校で、「同点の場合には学力検査の点数を優先する」などのルールが決まっているでしょう。

このように、採点から審議まで、合否判定は厳密に行われ、恣意的な合否判定はできないようになっています。

それに、です。万が一、恣意的な合否判定が強引に行われたとしたら、間違いなく何らかの形で社会に出るでしょうね。