Chief blog塾長ブログ

2022.05.23

思春期の子どもを持つ保護者の方へ

ブログの内容が「受験・学力アップ・ノウハウ」が中心になってしまっています。学習塾という性格上、そういう部分があることも仕方ないのかもしれませんが、それだけだとSアカデミーらしさがなくなってしまうので、自分なりの教育観・人間観を書いていきます。

ブログをどのような方が読んでいるか分かりませんが、今日はまず保護者の方へのメッセージです。

「子どもが勉強しない」と保護者はよくいいます。生まれてくるときには「無事に生まれてきてくれればいい」と考えるのに、実際に生まれてくると、ほかの子どもとの「対抗戦」が始まります。「うちの子は11ヶ月で歩き始めたの!」「おむつが2歳になる前に外れた!」「走るのが速いみたい」「もう足し算ができるの」と、よくある話です。

ただ、ご安心ください。ハタチになった皆さんのお子様は、「歩けます」「おむつも外れます」「足し算もできます」。足の速いお子さんが親になり、保育園の「保護者出場」のレースでは転ぶようになるだけでなく、徐々に速く走ろうという気持ちもなくなります。人生は長いのですから、歩き始めた時期がどうでも、おむつが外れるときがどうでも、勉強の出来不出来がどうでも、人生の「幸せ」とはあまり関係ないと私は思っています。

いつかしら、みんな人生から卒業していくのです。

人もうらやむような学力があり、一流高校、一流大学に入ることが幸せに直結するわけではありません。もちろん、それ自体に「幸せ」を感じる人もいるでしょうが、そういう人と私は共通の言葉を持ちません。教育に関しては、別の世界に住んでいる人です。子どもはアクセサリーではありません。

人生の幸せとは、「自分の人生は自分で決めて、責任を持ってその道を歩んでいく」ことだと私は思っています。子どもに対してはアドバイスをすることはあっても、最終的な人生の決定は子どもが行うべきです。子どもの失敗は見ていて心が痛みますが、失敗体験は人生の糧になります。自分の子どものスタートポジションをできるだけ前にしてあげたいという気持ちも分かりますが、自分でポジションを選べない人生など残念です。自然の摂理でいえば、親の方が「一般社会」からも、「人生」からも、早く引退していきます。いつまでも「ヘリコプター」のように上から子どもを見ていることは不可能です。

親の役割は、愛情を持って見つめることなのではないでしょうか。

「子育ては難しい」という保護者の方の多くは、「自分の思うようにならない」と思っていることが多いようです。しかし、です。皆さんは、自分の親が思うような人生を選択しましたか?親が望むように思春期を過ごしていましたか? おそらく、ほぼ全員が「そんなことはない」でしょう。だったら、お子さんにも人生の選択を任せてみませんか。学校の先生との付き合いよりも、塾の先生との付き合いよりも、親子関係はずっと長く続きます。学校の先生に何をいわれようが、教育についてはほぼ素人の塾の先生に何をいわれようが、愛情を持って子どもを見ている保護者の方の直感の方が圧倒的に正しいことは多いものです。人生は短いですが、親子関係は長いのですから。

子どもと同じ人生の船に親は乗れないし、乗ってはいけないと思うんですよね。