Chief blog塾長ブログ

2022.07.20

中学校こそ、「優秀な」先生を!

高校で20年以上教え、その後に中学生に教えるようになって今年で8年目です。中学生は教えれば教えるほどおもしろいけど難しい。それに、教科的にも教える側の責任が高校に比べて大きいような気がします。その理由を書いていきます。

  1. 中学生は精神的にまだ幼い
    思っていることを適切な言葉で伝えられなかったり、言葉に出さなかったり、ということが多くあります。また、「かっこつける」こともあります。ひと言で言うならば、自然体とはほど遠く、小学校の低学年の頃とは全く違うのではなでしょうか。教える側も、その生徒の変化を意識しながらどのような言葉をかけるか、どのように対応するかという瞬時の判断が求められますし、日頃からの人間関係も大切になります。壁を乗り越えるときには「追い込む」必要もあります。いつ追い込むか、どのように追い込むかというタイミングを間違えると大事故になりますので、これは職人技です。
  2. 親子関係が大きく変わる
    自我に目覚めた中学生と、それを(多かれ少なかれ)受け入れられない保護者との関係の端境期です。いわゆる反抗期。「子どもの人生は子どもが決める」と思える保護者もいる一方で、子どもの精神的な成長に戸惑う保護者も。そのサポートというか、保護者にそれを伝えることも教える側の責任だと私は思います。親子関係がスムーズになれば、勉強にとってもいい環境作りになります。
  3. 英語の基礎を学ぶ時期
    「簡単な問題を繰り返すこと」を「基礎の獲得」と勘違いしている人が多いのではないでしょうか。中には「品詞を覚えること」という訳の分からないことをいう人もいます。もちろん、品詞を意識することも、基礎問題の徹底も、SVだとか、目的語だとか、全部必要だと思いますが、それを「基礎の獲得」と考えるのは違います。自分で乗り越えられる中学生はいいですが、乗り越えられない生徒の方が多いのではないかな。この基礎を学ばないと高校生になってから苦労しますし、基礎を学べれば高校生になってもさほど苦労しません。
  4. 「何をどのように習得させるか」の全体像を教え手は把握
    テキストに従って教えることは簡単です。多少の力があれば、誰にでもできます。しかし、ある単元を勉強していて、その前を理解していないと思ったときに、すぐにその場所に戻れる能力も必要です。理解がすっとできたと思ったら、その先を教えることも必要です。たとえば、分詞の形容詞的用法で後置修飾が分かっていないと思ったら、the bird in the cageのような「前置詞句」の「形容詞的用法」 に戻るし、場合によっては受け身や進行形にまで話を進めることもあります。

中学生を教えるには、教科的な指導だけでなく、心理的(教育的)なトレーニング(経験)が必要です。中学校の3年間は高校の3年間よりも英語という教科的には大切な時期です。だからこそ、優秀な先生こそ中学校で教えて欲しいなと思っています。