Chief blog塾長ブログ

2019.09.11

「ボランティア」から見えた風景

東京都内の「御三家」に通う高校1年生のA君から、「ボランティアが学校の夏休みの課題なので、福祉施設を紹介してもらえないか」と相談を受けました。こういう相談はそれなりの件数があり、今まで数人を障がい者施設や介護施設につなぎました。ただA君には、生活に困窮している人たちを支援する経験が彼にはプラスになるだろうと思い、A君に講師のMさんを紹介しました。

「生活困窮者自立支援法」という法律に則り、市町村には生活困窮者の職業的自立や借金の相談、DVの被害など「よろず相談」の場所があります。数学の講師のMさんはそこで相談員として働いています。

公立中学校の先生や、公立高校(底辺校)で働いている先生方にとっては「日常」となっている景色は、あまり知られていません。

  • 保護者の蒸発
  • 保護者のネグレクト
  • 「片付けられない」家庭
  • ペットの多頭飼い
  • 保護者や本人ともに軽い知的障害
  • DVによるシェルター避難
  • 生活保護を窓口で拒否され、困窮
  • 闇金などによる借金

など、「そんなこと、マンガの世界じゃないの?」と思っている人も少なくありません。「生活困窮者自立支援法」が施行されるまでは、民生委員や地方議員、時には学校の先生がこのような課題をサポートをしていました。そして、「お金にならない仕事」として割り切って協力してくれた弁護士の先生方もいます。

将来は法曹界に入りたいと思っているA君にとって、障害者施設や老人ホームよりも、このような生活支援のボランティアはよい経験になるかと思い、Mさんに紹介しました。

 

3日間にわたるボランティアを終え、とても「今まで知らなかった経験ができた」と「見えなかった事実」を知る体験ができたことは彼にとってよい経験であったことは顔つきから分かりました。「片付けられない人」のサポートや、動物の多頭飼い(100匹以上)など、課題を持っている人々にはそれなりの理由があり、表面的なサポートではなく、お金の使い方など生活習慣から見つめていくことから始まります。A君の経験は自宅でも話題となっていたようで、保護者の方からも丁寧なお手紙をいただきました。

Sアカデミーの原点は、学力はもちろん、人間的な成長のサポートをすることです。そして、若者の成長を願う講師と、そこで成長をしていく生徒との空間を作り出したいと思っています。どんなに多いクラスでも10数名ですから、講師も一人ひとりに目が行き届き、生徒の成長が見えてきて、成長のためのハードル=課題が見えてきます。その課題を乗り越えるサポートが講師の仕事なのだと私は思っています。

Sアカデミーは、大手予備校とは違い、学力だけを上げればいいと思っていません。学力サポートだけでなく、人間的な成長もサポートしていきます。