Chief blog塾長ブログ

2019.10.04

ちょっとコーヒーかお茶でも

危機感を煽られて、子どもにプレッシャーをかけすぎているのでは?

友人から受けた「受験相談」でそう感じました。はっきりいってしまえば、危機感を煽っているのは、学習塾だったり、時にはメディアだったりします。同じような状況が日本中にあるのではないかと思い、昨日の電話で友人に話したことをブログにしてみます。

学習塾は売上をどのように上げるか=どれだけ受講させるか、授業を取らせるかがいちばんの課題です。大手は上場企業ばかりですから、株主総会では「前年比、売上が○○%アップしました」ということが大切な報告でしょう。業績=売上がアップしなければ、株主から取締役は選任をされないから当然のことです。その取締役の中から、代表取締役は互選で選出され、会社のトップとなるので、会社全体は売上高が大切になります。もちろん、私たちも会社が存続するための売上は大切にしていますが、利益は貪ってはいないという自負はあります。

メディアもそうです。センセーショナルな書き方をすれば、雑誌は売れます。皆さんのお子さんの個性のことなんて、全く知りもしない記者が、お母様たちに「お得な学校」だとか、「入試はこう変わる」なんていってくるわけです。「いい学校」としての思い出は、「いい友人と担任」がいちばん大切なのでは?

学習塾もメディアも、皆さんのお子さまに責任は持ってくれません。学習塾や予備校のスタッフが、教育学を学んでいて、発達心理学を学んでいる人なんてほぼいないのでは? エリクソンのライフサイクルを知り、アドラー心理学に精通し、自分なりの人間観を持っているようだったら、危機感をあおり、「この講座もとれ」「これも必要」となんていえるはずもありませんよ。良心に反して、仕事なんてできません。それが、教育という仕事です。

学校の先生への不信感をお持ちの方もいます。確かに、一昔前のメディアには教員は楽で、てきとーに仕事をしているような書き方もされていますよね。しかし、公務員から、会社(従業員50人規模)の中小企業の社長になった私は、民間の人よりも、学校の先生の方がよっぽど人間的に信頼できる割合は多いと感じています。学校の先生は本当にまじめです。
授業に対する不安もお持ちかもしれませんが、大学で専門科目を学ぶだけではなく、教科教育や心理学、教育学を学ばないと教員免許状はもらえません。誰しも、最低限度の基準はクリアし、そこから教える技術の「上乗せ」をしている人が少なくありません。だから、学校の授業(今は中学校の先生をイメージしています)をもっと信用してください。

だからこそ、ちょっと立ち止まってください。

受験は、困難を乗り越えるという意味では、お子さまの成長にプラスになります。その一方で、重すぎる課題を与えてしまうと、成長にマイナスになります。どの程度の課題が適切かは、生まれたときからお子さんを見てきたお母さんがいちばんお分かりではないでしょうか? いい結果の時も、悪い結果の時も、同じようにお子さまに接して、その挑戦を称えた方が子どもの成長にはプラスになると思います。

シロウトから危機感を煽られて、親子とも傷ついていくのは、残念なことです。

多くの子どもと接してきて、20年前に比べて、今の子どもたちは優秀だし、社会規範が高いと私は思っています。今まで、よく育てられましたよね。生まれてから、固形食を食べるようになり、歩けるようになって、おむつも外れていく。いろいろな課題を子どもたちはそれからも乗り越え、思春期を迎えています。

子どもの人生は子どものものです。親の世代である私たちも、自分たちの親が望むような人生を歩んでいる人は極めて少数ではないですか?それでもなんとかこうやって生きていますし、「ちょっとした幸せ」を感じるときだってあるはずです。であれば、お子さんの人生はお子さんのものとして、前のめりになりすぎず、立ち止まって、コーヒーやお茶でも飲んでみましょうよ。