Chief blog塾長ブログ

2022.01.18

ふたつの進路指導

進路指導という言葉はよく使われる。中学生であれば「どの高校を受験するか」がメインになり、高校生であれば「進路は大学短大・専門学校・就職のいずれかから、どのような分野・業種を選び、どの学校・企業にするか」とちょっと複雑になる。大学については入試制度も複雑になるだけでなく、毎年のように変更もあり、「今年から変更されました」という話も少なくない。このように、具体的な進路指導というのがひとつであり、これはメインともいえる進路指導だ。どちらかというと、数字に表れやすい。

もうひとつは、「いかに人生を歩んでいくか」という進路指導だ。これは数字に表れにくい。その生徒が、どのような人生を歩みたいかということを考えさせたり、それを鍛えたりという「指導」であり、これは日常の教育活動全般がそれにあたる。これは大人でなければできないことなんですよね。

50を過ぎた人ならば、「いい高校に行き、いい大学に行き、いい就職先を探し、人生を歩んでいく」ということが本当に幸せだと限らないと分かっているでしょう。だからといって、いい加減に高校を選び、適当に大学に行き、あまり考えずに就職をして、生きていく」ということがいいことだとはさらに思っていない。お金持ちになる人生が幸せとは限らないし、お金のない人生が幸せでもない。有名企業で働くことだけで幸不幸が決まるはずもない。こんな風に考えられるのは、働くことのゴールや人生の終着を考えるようになった人々の特権だ。

人生のゴールは死であるということを納得できる人は、ちょっとした偏差値にこだわることもないし、受験に対して真摯にならなくていいとも思わないでしょう。「死」を前にしたときに、その人の生き様がファイナルジャッジを自分自身に受ける。

人間万事塞翁が馬。

人生は何がいいことで、何が悪いことかはそのときには分からない。短期的に良いと思ったものが、長期的には悪いことにもなる。ただ人生を豊かにすることは、結果ではなくて、過程ではないかと思うし、そう思える人が幸せになれるのではないかと私は思う。そんな人生観をベースとした進路指導を行っている。